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業界動向 2023.02.15

NTTドコモのメタバースサービス「MetaMe」、人のデジタルツイン技術を試験実装

日本電信電話株式会社(以下、NTT)は、「docomo Open House’23」にてメタバースサービス「MetaMe」を展示・発表しました。MetaMeには「人のデジタルツイン化を実現するための技術」を試験的に実装し、2023年2月にベータ版が先行提供される予定です。


(画像:NTT)

「MetaMe」とは?

MetaMe」はドコモが開発中のメタバースサービスです。発表によると、10,000人以上の同時接続が可能な「超多人数接続」、マルチモーダルAIによって利用者の行動に通底する動機を理解する「価値観理解技術」、また理解された価値観を解析し、高精度のマッチングやレコメンドを行う「行動変容技術」の三つが大きな特長となっています。

「感性コミュニケーション」と「Another Me」で、人のデジタルツイン化へ

NTTはこれまで、自律的に行動する「人のデジタルツイン」の実現に取り組んできました。デジタルツインとは、現実世界とまったく同じ環境・人を双子のように再現したものを指す言葉です。

特に人のデジタルツインにとっては、「感性コミュニケーション」(気持ちそのものを伝える技術)と、「Another Me」(実在する人間と同等の知性・人格が感じられる分身)が重要とされ、開発が進められてきました。

今回「docomo Open House’23」でMetaMeに試験実装された技術は、この感性コミュニケーション、そしてAnother Meを実現するためのものです。具体的には、下記の三つが発表されています。


(出典:NTT、それぞれ脳内表象可知覚化技術(上)、個人性抽出技術(中)、個人性再現対話技術(下))

脳内表象可知覚化技術

「脳内表象可知覚化技術」とは、人間の感情や認知を直接理解できるようにする技術です。本技術では脳波を読み取り、データを7次元に圧縮してパラメータに変換(脳波-内面状態モデル)。このパラメータを幾何学的図形として描画することで、脳状態をリアルタイムに観測できます。

効果検証実験においては、相手が美味しいと感じたかどうか推定するタスクで、このデータを与えたことで推定誤差が減少。また、自分の感情を説明するタスクでも感情特定の難しさが有意に減少したと報告されています。

個人性抽出技術

「個人性抽出技術」とは、個人のパーソナリティ(価値観や性格、趣味など)を抽出する技術です。

個人の行動履歴を参照し、行動に影響を与える価値観などの情報を埋め込んだベクトル量を学習することで、Another Meが本人のパーソナリティに沿った行動を再現できるようになります。これによって、価値観の類似度の比較や、価値観に応じた商品のレコメンドも可能となります。

個人性再現対話技術

「個人性再現対話技術」は、発言内容に一貫したパーソナリティを持たせることができる技術です。「休日は何をするか?」などの状況・要望に応じてプロフィールや趣味を指定。設定内容に即した対話AIを実現できます。

「docomo Open House’23」での展示内容

上記技術のデモンストレーションとして、MetaMeでは、以下の内容が体験できます。


(出典:NTT、それぞれ脳内表象可知覚化技術(左)、ペット型Another Me(右))

脳波を活用したコミュニケーション支援

先述の「脳内表象可知覚化技術」のデモにあたります。MetaMeにて、絵画や動画を複数人で閲覧。そのさい生じるさまざまな感情の変化を簡易脳波計で取得します。

脳波はMetaMe内のアバターがまとう「オーラ」として可視化されるとのこと。相手や自分の感情がリアルタイムで変化する様子を確認でき、相互の関心・理解の向上が望めます。これにより、コミュニケーションの活性化を図るとのことです。

ペット型Another Me

「個人性抽出技術」と「個人性再現対話技術」のデモにあたります。本人と近い個人性や価値観をもち、自律的に行動するAnother Meのプロトタイプとして、今回はペット型を展示しています。

ペットは自分と似た個性をもっており、自分と価値観の近いユーザーを見つけます。会話時には共通の話題を提供してくれるなど、ペットの姿をしたAnother Meを介して新しいコミュニケーションが体験できるとされています。

(参考)NTTニュースリリース


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